・8月26日
本日のメインイベントは古い知人と久々に会ってお土産もの交換。
前半戦の疲れを取ることに終始。
その間、各種アポ・確認・連絡等で1日を過ごす。
・8月27日
朝イチで、エレディアに住む私のコスタリカ のおばあちゃんことティタ家を訪問。
なんと、23年ぶりの再会!
御年95歳、耳は遠くなったけどまだまだ元気で、とても嬉しく思いました。昨年訪れた日本人女性が作ってくれたバーモントカレーがとても美味しかったとのことで、カレーの箱を宝のように大事にしまっておいていたらしく、それを見せてくれました。
その夜、たまたま立ち寄った中華系スーパーでそれとまったく同じバーモントカレーを発見!さっそく2箱購入し、翌日朝に持って行きました。
・8月28日
ティタにカレールーを渡したのち、「なまけものの通りみち」発案者である故・阿部真寿美さん宅へお参りに。そこからパートナーであるクリスティアンを伴って、トラピチェ統合農園へ向かいます。
サンホセを北上し、雲霧林が生い茂るブラウリオ・カリージョ国立公園を縦断します。途中、この国唯一の本格的車道トンネルを通過。
トンネルを抜けると、カリブ海沿岸まで一気に標高を下げていきます。
標高0m地帯の平野部に入ると、そこはバナナプランテーション一色の世界。
ここは、人間よりバナナが優先する土地。バナナ運搬のため、車両通行止めになることもこの地域 では日常風景です。
トラピチェ統合農園は、このバナナプランテーション地帯を抜け、トルトゥゲーロ国立公園に向かうボート発着場に至る道のりの途中で右折したところにあります。
控えめにトラピチェ統合農園の行き先を示す看板があるの、わかりますか?
首都サンホセから約2時間半のドライブで、トラピチェ統合農園に到着です。
入口から、トラピチェ(伝統的サトウキビ絞り機)のある東家に入っていきます。東家に入ってすぐ左手にある器械がトラピチェです。
ちょうどお昼時になったので、クリスティアンとニディアが農園で採れたものを使って昼食を作ってくれました。
東家の中にある調理場も、昔ながらの炭の竈です。
お昼ご飯をいただいたのち、まずは軽く農園内を一周します。
東家を出てすぐ右手にあるビニールハウスのような場所は、コショウなどの天日乾燥場。その奥にあるもう一棟は、有機肥料などをつくるラボです。
東家を出てまっすぐ西に進み、農園の真ん中あたりから北(右手)に入ったところが、私たちが木を植えている「なまけものの通りみち」の第一区画です。
上記動画は、下記地図上の赤い矢印の順に歩いていった様子です。(上が北)
上記イラストの、Raíces Para Siempreという看板はこれ。看板の左手にカカオの木の列が植わっています。
中央右上あたりのバニラ、コショウ、コーヒー、カカオのアイコンがあるところが第一区画。その左下に同様のアイコンが並んでいるところが第二区画です。
写真を撮っていたら、ちょうど花に蝶が飛んできました。
この右手にコショウの列を植えています。
コショウの説明をするクリスティアン。
最も成長の早い株には、早くも実がすずなりです。
コショウの横に、バニラの列。右がコショウで左がバニラ。カカオはさらにその左です。
コショウもバニラもツル植物で、ポロという木に巻きつかせています。
ポロはナマケモノが好む木で、枝の間で休んだり、葉を食べたりします。
カカオもナマケモノが好む木の種類です。
これらを混合させて植えることで、「ナマケモノの通り道」をつくっていくわけです。
現状で、早くも花を咲かせたバニラが一株だけあります。しかし通常は初開花まで3〜4年かかるので、まだまだ先は長いといったところです。彼らにとってもバニラ栽培ははじめてで、試行錯誤が続いています。バニラの根が地面に到達したら、そのまま地面に潜るのかと思っていたのですがそうではなく、地面を這うように伸びていくことがわかりました。そこで、地面に肥料を埋めていたのをやめ、血を這うバニラの根に落ち葉などを置くことで有機肥料とするやり方を試しています。
コショウもいくつかの株で早速初結実しました。初年度は小さめの実になるのですが、質はよく、消費するのに十分なものができるそうです。ただ、ロットが少ないので、本格的な商品化は数年後になりそうです。
いずれにしても、思いのほか成長が早く、皆揃って今後に大きく期待しているところです。
今度は看板のある場所から、上記イラスト図の矢印を逆方向にたどってみます。
初植え付けからまだたった1年半しか経っていませんが、早くも若い森の様相を呈してきています。熱帯雨林の植物の成長スピードには目を見張ります。
その後、イラスト図中央下部(南側)の第二区画を見て回ります。
こちらはやや遅れて植樹を始めたところで、最初の現場より木々がまだ若いですが、順調に成長していることが見て取れます。
…と、その端にナマケモノが!
この農園では初めて見る、ミユビナマケモノです。
けもみちの発案者である故・阿部真寿美さんにちなみ、阿部さんにかわって末長く「けもみち」の発展をみまもってもらいたいという願いを込めて、マスミと名付けられました。
第二区では、若いカカオの木々に日陰をつくるため、バナナを多めに植えています。
そこからさらに、南西の端を歩いていきます。
その途中、イラスト図の南(下)側のナマケモノのアイコンがあるところで、フタユビナマケモノの家族、エドウィナの子ソルとその子リキを発見しました。
この南西区画は蝶類の天国でもあります。
南西の端から北西に向かいます。鬱蒼と繁るその森の中を歩いていると、美しいハチクイモドキを発見。
コスタリカでは比較的ポピュラーな野鳥で、実はアテナスのミツバチ生物回廊の近くでも目撃していました。
農園を一周した後、全体の現状を把握するため、ドローンで空撮を試みましたが、初めての本格的飛行だったため、なかなかうまく撮影できませんでした。翌日あらためて試みることにして、この日は予定を終えました。
その後十キロほど離れた街外れに宿を構えました。たまたまあてがわれた部屋の前にもナマケモノ。
・8月29日
近所のソーダ(大衆食堂)で朝食を済ませます。
店内はこんな感じ。オープンエアーのこぢんまりとした店構えです。
朝ご飯のメニューは国内どこに行っても一緒、このガジョ・ピントです。
朝食を済ませた後、トラピチェ統合農園へ。
到着後、東家近辺でFacebookライブ配信を試みました。ちょうどハチドリが飛んできたので撮影したのですが、視聴者にも見えたとのことで、現地の雰囲気を多少なりとも伝えることができたと思います。
この日は作業が中心。まずは、植樹本数が100本を超え、第二期がスタートしたことを記念し、当研究所のコーヒーを植樹しました。
その後、今日もナマケモノを探して散策路を一周してみます。すると、いました!エドウィナの子ソルです。
鼻先を掻いている姿がユーモラスなこちらのショート動画もぜひご覧ください。
この日もドローン撮影にトライしました。ちょっとわかりにくいですが、トラピチェ統合農園の上から見た全景はこんな感じです。
電池が切れるまで何度も撮影したのですが、最後まであまりうまくいきませんでした。
一度トラピチェのある東家に帰ってきた後、隣接する乾燥場について説明を受けます。
農園で採れたコショウ(右手)をここで天日干しします。
だいたい1週間ほどでブラックペッパーのできあがりです。
ちなみに上の写真の左手で乾燥させているのはタバコの葉。
ところがこれは失敗だったとクリスティアンは苦笑いしました。
どうやらタバコは陰干ししなければならないのだそうです。
クリスティアンたちも、新しい形の農園づくりのため、試行錯誤を続けています。
すべての作業を終えた後、農園主クリスティアンと談笑。
その中で、「もしかしたら国家保全区域庁(SINAC)の担当官がインタビューに応じてくれるかもしれない」という話になり、クリスティアンが早速翌日朝8時にアポイントを取ってくれました。
ちなみに、コスタリカに来るまで、実は一件もアポイントメントをとっていませんでした。というのは、コスタリカで調査をする場合、キーパーソンは人づてで芋づる式に出てくるからです。まず友人・知人に会い、何を調査したいかという話を伝えると、「それならこういう人がいる」という話に必ずなります。そこからその人に連絡を取り、アポを取るわけです。さらにその人と会って話す中で「こういう人もいる」という紹介を受け…というプロセスが延々と続くことで、どんどん調査が進んでいきます。そのため、逆にアポを固定しない方が、発見の多い、広がりのある調査研究ができるのです。これがコスタリカ研究のおもしろいところでもあります。この翌日も、車だけは手配しておいて日程自体はあけておいたので、再び農園を訪れてキーパーソンと会う算段をつけることができました。長年の経験を積み上げることで培った、私流のコスタリカ調査法です。
というわけで翌日もう一度出直すことにして、この日は一旦サンホセに帰ります。阿部さんのパートナー・クリスティアン(同名なのです)を家に送り、サンホセ中心街で時間貸しの駐車場を探して車を停め、そこから歩いていつものホテルへ。
翌日は朝5時出発です。
私たちが実際につくっている生物回廊に関する公的機関のキーパーソンとのインタビューに胸を躍らせながら、寝慣れたベッドに滑り込みました。
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