就任早々、矢継ぎ早に大統領令に署名し、世界がその動向を注視する米国トランプ政権。
コスタリカへの影響はあるのでしょうか。
代表理事足立が解説します。
トランプ大統領は、就任早々にコロンビアに対する25%の関税を宣言し、コロンビア政府を凍り付かせました。
同時に、米国内に滞在するコロンビア人不法滞在者を強制送還しようとしました。
当初コロンビアはその受け入れを拒否していましたが、両国政府の協議の結果、コロンビア政府が強制送還者を受け入れることで関税を回避するという結果になりました。
これは、人質を使った脅迫ともいえる外交手法です。
この事件は、ラテンアメリカ諸国の心胆を寒からしめるに十分な出来事だったことでしょう。
コスタリカからも、多数の移民が米国に渡っており、そのほとんどは合法的なステータスを持っているものの、他人事とは思えないことでしょう。
ですが、米国と自由貿易協定を結んでいるコスタリカに同じようなことが起こるかというと、そうはならないと考えられます。
ただし、現状を見る限りでは、自由貿易協定そのものはトランプ政権の強硬外交に何ら影響を及ぼしていないように見えます。
というのは、北米自由貿易協定(NAFTA)の加盟国であるカナダやメキシコに対しても、トランプ大統領は高関税をかけるという脅しを続けているからです。
しかしながら、コスタリカは同じような脅しを受けるかというと、その可能性は低いと思われます。
その理由は、コスタリカは米国に対して輸入超過のトレンドにあるということです。

つまり、米国の方が儲かっているわけなので、コスタリカに対して脅迫して関税を引き上げるメリットが少ないのです。
不安要素を挙げるとすれば、やはり近年のトレンドとして、米ドルに対して為替がコロン高で推移していることがあります。
その状態でも米国はコスタリカに対して輸出超過を維持できているので、それが米国のコスタリカに対する態度に影響を及ぼすことは、少なくとも短期的には考えにくいところです。むしろ輸出超過は近年増加傾向にあるので、米国側としても気にすることはないだろうと思われます。
コスタリカは米国に対して、医療関係機器やバナナ・パイナップルなどを無関税で輸出しています。
バナナはもともと米国資本がコスタリカ領土内において独占的に開発した歴史のある産品。
パイナップルは、今世紀に入ってコスタリカにおいて急成長し、国内においても一次産品輸出額で一位となっている作物です。
医療関係機器は利益が大きく、コスタリカの経済にとっても重要な位置を占めます。
これらに対して高関税がかけられれば、コスタリカ経済へのダメージは相当大きくなるものと考えられます。
ですが、当面はその心配はなさそう、というのが現在の観測です。
とはいうものの、これだけ強硬な外交を矢継ぎ早に展開するトランプ政権のことですので、関係者はその動向を注意深く見守っているようです。
ラテンアメリカ諸国は、米国の強大すぎる影響下にあります。
その政策のあり方や方針転換は、地域諸国すべてにおいて死活的問題となります。
コスタリカも強引なトランプ外交の波に飲まれることなく対米関係を保っていけるか、今後も注目が必要です。
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